遥かなる水の音(村山由佳・2009年)
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遥かなる水の音 | |
おすすめ平均 う?ン、何か物足りない 翼+BAD KIDS+野生の風 映画のように一気に読みました。 都会としてのアフリカ ロードノベルとしてはいい by G-Tools |
パリで、ひとりの青年が死んだ。
最期をともに過ごした同居人は、ゲイの中年フランス人だった。
青年の遺言は、「遺灰をサハラにまく」こと。フランス、スペイン、モロッコ―。
青年の姉、友人のカップル、同居人のグループは、様々な思いを抱えたまま、遺言を叶える旅に出るが…。
(「BOOK」データベースより)
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個人的に「ダブル・ファンタジー」がイマイチだったけど、装丁と題名に惹かれて手にしました。
今回はパリからサハラへの旅の物語。
「自分が死んだら、サハラに灰をまいて欲しい」と言って死んでしまった天音。
フランスに住む姉の緋沙子と、天音の恋人であった、ジャン=クロード。
天音の同級生で友達の浩介と結衣。
残された4人が、陸路で、モロッコからサハラへと向かう物語。
その4人に加え、現地ガイドのザイードの5人の視線でつづられます。
遺志とは言え、有志でサハラまで行く。
それも陸路で。。。
なんともとっぴな設定ですが、こういう親族や恋人・友人がいるって素敵だなぁ。
それぞれの抱える悩みや問題が旅を通して浄化され一歩も二歩を前に進んでいく。
思い出をしっかりを思い出し、整理する。
遺された者はそうやって乗り越えていくものなのかもしれない。
『野生の風』の空気感、『翼』のそれぞれの民族文化の違い、この2つに近いお話だと思いました。
何かを強く願うとき、ただ『望む』のでは不十分だ。『信じる』のでなければね。
Hopeではなく、Believe。
ゲニウス・ロキ。ラテン語で、地霊のことを言うんだけどね。
たとえば、旅した先の土地にすごく惹かれるものを感じた時は、その土地のゲニウス・ロキに気に入ってもらえたってことなんだそうだよ。
そもそも人は、迷うと思うから迷うのだ。
言い換えると、目的地へ一刻も早くたどり着こうとするから迷う。
費やす時間の多寡さえ初めから考えなければ、たいていの場合、いつかはたどり着く。
回り道であるにせよ、それは迷い道ではない。
ラダマンの間は、王様もおなかがすく。
金持ちも、おなかがすく。
そうすると、いつもいつもおなかをすかせている貧乏人の気持ちがわかる。
神様の前ではみんな一緒ということを、誰もが思い出すでしょ。
そのための断食。
しなかったらいつか後悔するようなことは、絶対先へのこしておいちゃだめだって思うようになった。
やりたいことがあるなら、すくやって、今やって、とにかく片っ端からやりまくって死んでやる。
これは理想なんだけどさ。
最後の最後に、『あーよく遊んだ、楽しかった!』っつって、笑って死ねたら本望だと思わねぇ?