静人日記(天童荒太・2009年)
修子
普段は質素に、たまには豪華に。
********************
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。
七年の歳月を費やした著者の最高到達点!
善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。
(「BOOK」データベースより)
********************
言わずと知れた、第140回直木賞受賞作です。
天童荒太さんというと、「永遠の仔」が有名ですね。
読もう読もうと思いながら、手が出せず今に至っています。
そうしたら7年ぶりの新作が直木賞受賞と言うことで、そちらを先に手にとってみました。
他の作品を知らないので比べられませんが、7年の歳月を費やしただけあって、丁寧に書かれているのが伺われます。
内容はと言うと、
生い立ちと友人の死の影響から、「死」と向かい合い続ける主人公・静人の物語。
人はいつしか彼を「悼む人」と呼ぶ。
物語は静人の周りの3人の目線から語られます。
最後の最後まで、静人の心の中の言葉は語られません。
それぞれが、静人のことを想ったり、共感したりし、影響されていきます。
現実的なことを考えると「悼む人」には矛盾もあります。
一種のファンタジーと言ったほうがいいほどです。
それでも、いろいろ考えさせられる。
正直、評価しにくい作品です。
ただ、時代が変わっても読み継がれる本なのではないでしょうか。
最後に、
静人が自分の事を「常に手遅れの人」というのが印象的だったのと、
静人の母・巡子の生き方が良かったです。
そして、この「巡子」という名前にも深い意味があるのでしょうね。
「この人は誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょう。
どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか。」