モダンタイムス(伊坂幸太郎・2008年)普段は質素に、たまには豪華に。

モダンタイムス(伊坂幸太郎・2008年)

修子
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検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された、伊坂作品最長1200枚。
(「BOOK」データベースより)
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突然ですが、問題です。
「新聞紙(1枚を1mmとする。)を25回折ったら、どれぐらいの厚さになるか?」
(答えは最後に…。)

「モダンタイムス」と聞くと多くの人はチャップリンの同名映画を思い浮かべるのではないでしょうか。
この本には、「モダンタイムス」だけではなく、「独裁者」、「ライムライト」とチャップリンの作品が出てきますが、私はそれらを観たことないけれど、特に困ることも無く読み終わりました。

ちなみに「魔王」の続編です。
舞台は魔王の約50年後。
読んで無くても困りはしないと思うけれど、読んでいたらなおわかりやすいかな。

実家に忘れてきました。何を?勇気を」という衝撃的(?)な始まり方。
読む人を引き付けるのが上手ですね。

とは言え、私は1/3ぐらいまで世界観になじめずでした。。。
その後、「謎」の輪郭がはっきりとなりだし、やっとページが進むようになったのですが、グロテスクな描写もあって、結局、楽しめずに終わってしまった。。。
モーニングに連載という事で、各章の最初と最後が「前回のお話は?」&「次号につづく」という描写になっているのもいまいち読書の波に乗れなかった要因かな。

システムに組み込まれ、それが当たり前だと思っている人々。
でもそれが本当に当たり前なのか?流されているだけなんじゃないのか?
自分で考えて答えを出せ!
という事が言いたいことなのだろう。
そのあたりは「魔王」と通じる部分があると思う。

とは言え、
浮気相手の目的はなんだったのか?
佳代子さんはいったい何者なのか?
占いメールってホントに先輩が語っただけが真実なの?

と、謎は残るばかりです。
もうちょっと伏線の回収をして欲しかったな。

ラストも考えた結果なのか、逃げ出したということなのか、分かれるところではないでしょうか。

帯に「検索から監視が始まる」とあります。
いくらデジタルが発達しても、いや、デジタルが発達するからこそ、アナログが強くなるんだろうな。と再認識。
デジタルは便利な分、本当にこの本のようなことが起こる可能性があるのでしょう。

読書好きとして、興味深かったのが電子書籍の話。
本の時代(今から50年後ぐらい?)には電子書籍が一般的で、書籍になるのは本当に売れた本のみという設定。
そういう風になることもありえるんだろうな。
でも、やっぱり私は本が好き。
紙の匂いや肌触りってそれぞれ違うし、手で捲りながら読むのがいい。
推理小説なんかでちょっと戻りたいって時も、大体のページを手の感覚で覚えている。
本当に本はデジタルが発達したら無くなるものなのか?
行く末が気になります。

でも、いろんなところにいい格言(?)がありました。

結婚とは、一に我慢、二に辛抱、三、四がなくて、五に忍耐
(ちなみにこの主人公は「五にサバイバル」。なぜサバイバルかは読んでみてください^^笑えます☆)

今の世の中で何が一番貴重かって言えば、思い出や人との絆なんかじゃなくて、パソコンのデータなんだよ。
そのうち、誘拐事件ってのは子供じゃなくて、パソコンに対して行われるぜ。

小説にとって大事な部分ってのは、映像化された瞬間にことごとく抜け落ちていくんだ。
人生は要約できねえんだよ。本当にそいつにとって大事なのは、要約して消えた日々の出来事だよ。

小説は、世界を変えられない。小説は沁みるんだよ。

作者が言いたいことを小説として言っているんですかね。
他にもなかなか的を射るくだりがたくさんありました。

小説の映像化のくだりは私がいつも思うことなのだ。
映像は映像で良さがあるけれど、小説を読んだ人間がいかに「完全映像化!」と言われるものでも何かが違うと思ってしまう。
それは抜け落ちた部分が垣間見えてしまうってことなんでしょうね。

物語はさておき、他の本も読んでみようと思いました。

忘れるとこでした!最初の問題の答え。
「富士山より高い。」

うちの人曰く、2の25乗になるので軽く富士山を超えるそうです。
数学的な思考回路がないとそんな高くなるって思わないですよね。
パッと言われただけだと、5cmぐらいじゃない?なんて思う人が多いかも。
普通に新聞紙でできそうな気さえします。
これこそ作中の「考えろ!」ってことなのでしょうね。

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ABOUT ME
修子

酒・食、時々、旅・舞台・着物𝓮𝓽𝓬.

レジャックの外が見えるエレベーターが子供の頃の遊び場だった名古屋生まれの名古屋人

普段は質素に暮らし、でもたまには豪遊したい♡
そんなの日常を綴っています

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