恋愛中毒(山本文緒・1998年)
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冴えない事務員とばかり思っていた20近くも年上の女に恋のトラブルを解決してもらった僕は、同じ日の夜、その女とほの暗い店の橙色の明かりの下で酒を飲んだ。
昼間のもめ事についてくどくど詮索されることを恐れていると、女は放心したように、ほつりほつりと語りはじめた―。
僕はすい込まれるように聞き入る、永くせつない彼女の恋の話に。
都市の人々のこころを謳うストーリーテラー山本文緒、渾身の恋愛文学770枚誕生。
(「BOOK」データベースより)
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この本を読むのは2度目。私が山本文緒さんの虜になった本。
それまで本を読む習慣なんて無かったのに、読み始めたら止まらない!
他の本も読み漁ったけれど、私の中で山本さんと言えばこの本ですね。
簡単に言ってしまえばどこにでもいる30代バツ1の不倫の話。のはずなのですが、単行本だと349ページ中315ページ目、後半も大詰め辺りで思わぬ展開を迎えます。
そこで、それまでの執拗なまでの数々の伏線が一本の線に繋がるのです。
そこからの展開はジェットコースター並み。あれよあれよといろいろ露見します…。
私は勝手に、(以下、ネタバレ含む)
「私が私を裏切ることがないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。」
と言っていた主人公が、
「私は私に負かされる。」と諦められなかったことを自覚し、
「決めたことを守れないのならば、もう決めなればいい。」と成長する話だったりする。
と思っています。
途中、「過去に“もしも”を持ち込むな」という台詞が出てきます。
「もしも」を持ち込まない人って、自分の現状に満足しているのでしょうね。
不満があれば、ついつい過去に戻ってリセットしたくなる。
「こんなつもりじゃなかったのに。」なんて過去に言い訳をする。
深い言葉だな。って思いました。
お勧めしておいてなんですが、精神的に安定している時に読むことをお勧めします。
心の痛い部分を突かれる。そんなお話です。