マスカレード・ホテル(東野圭吾・2011年)
修子
普段は質素に、たまには豪華に。
・手や網で触れる。
・夜、車のライトがあたる。
・雷などの大きな音が鳴る。
・暴風雨で水が濁る。
唐突ですが、これらすべてクロマグロの孵化仔魚や稚魚が死に至る状況なのだ。
マグロは一生泳ぎ続ける回遊魚であり、決して小さい魚ではない。
そんな魚でさえ、孵化仔魚の時期はとても繊細な魚なのだ。
大きさもさることながら、そんな性質でも養殖に向かない魚とされてきた。
「完全養殖」とは、小型の個体を捕獲し出荷できるまで成長させるのを「養殖」というのに対し、天然の稚魚を成魚に育てて卵を採取し、その卵を孵化させて育てた成魚からふたたび採卵する、というのを繰る返すことを言う。
養殖もできない状態だった、クロマグロを完全養殖まで可能にしたということで、さらに画期的な出来事なのである。
この本では、題名にあるとおりの完全養殖に至るまでの32年間の軌跡が描かれている。
この完全養殖の話を私が知ったのは、とあるバラエティー番組の1コーナーだった。
しかし、去年、マグロ漁獲量規制のニュースが日本を大々的に駆け巡った。
「スーパーからマグロが無くなる」「マグロの価格が上がる」などなど。
昨年のガソリンの値段が上がった時もそうだが、値上がる放送だけが、過剰に日々報道され、値下がる報道はまったくされない。
消費者に不安をあおるばかりなのはどうもいただけない。
もっとこの完全養殖のような明るいニュースも大々的に放送して欲しいものだ。
話は逸れてしまいましたが、マグロを世界一消費する国として、これからも研究を続け、安定して生育していって欲しいものです。
この本は本が好き!からの献本としていただきました。
読了が遅れたことをここにお詫びいたします。