極北クレイマー(海堂尊・2009年)
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財政破綻にあえぐ極北市。
赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。
院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。
はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できるのか。
内容(「BOOK」データベースより)
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4月に発売された、海堂尊氏の新刊。
年代的には、ジーン・ワルツの前ですね。
今回も、不幸な術中死を巡って産婦人科医が逮捕された事件が取り上げられています。
とは言え、それに特化したわけではなく、財政破綻による病院閉鎖、ジャーナリスト西園寺さやかの登場、日本医療業務機能評価機構という珍客と、内容は盛りだくさん。
最初は興味深く読んでいたのだけど、日本医療業務機能評価機構が出てきたあたりから、軸がぶれすぎて何を言いたかったのか、よくわからない1冊だった。
そして、端々に次へ繋がりそうな伏線が出てくる。
この作者の本はどれもどこかでつながっている。
それはそれでいいのだけど、題名をつけ、1冊の本として出版するのであれば、その本の中で落としどころを作って欲しいものだ。
ラストの懐かしい世良先生が登場したけれど、なんとも消化不良。。。
話は変わって、ジャーナリスト西園寺さやか。
検査医の南雲から、「親父さん恩返しができればそれでいい」と言われるってことは、あの螺鈿迷宮の片割れ?
どこかで出てくるとは思っていたけど、やっぱりと言った感じでしょうか。
顔の火傷は黒子を取る手術の医療ミスだと言っていますが、火事の後遺症?それとも整形して別人になろうとした??
南に下る描写があったので、またどこかで登場するのでしょう。
結局は、相変わらずの官僚批判と、医者擁護ですね。
でも擁護されるだけの職業だとは思いますよ。
ただ、一部にあくどい医者がいるのも、一部にいい官僚がいるのも事実なんだろうな。
メディアはいつもそうだ。白か黒の二者択一。
そんなあなたたちが世の中をクレイマーだらけにしているのにまだ気がつかないのか。
日本人は今や一億二千万、総クレイマーだ。
どちらかと言うと、日本人はグレーゾーンが好きな人種だったと思うんですけどね。
これも時代の流れでしょうか。
そして表題の「クレイマー」が最後にして出てきたけれど、ちょっと弱いかなぁ。。。