ジーン・ワルツ(海堂尊・2008年)
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桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。
顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。
一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。
内容(「BOOK」データベースより)
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個人的に好きな本です。
この作者の本は、波に乗れるのと乗れないのが極端なのですが、これは最初から波に乗れて一気読み。
産科医療、というより、婦人科医療に焦点を当てた物語。
医学の発達により不妊治療だの人工授精だのができるようになるけれど、逆に代理母出産は合法か違法かの論争が起こる。
決して出産って簡単なものじゃないんですよね。。。
医療にまったく関係ない友人が、「医学の発達と共に、出産に対する人間の仕組みは退化した。」と言っていたのだけど、その通りだなあ。。。
昔は出産の前日まで畑仕事なんて当たり前だっただろうけど、今はそんな体力のある妊婦さんってほとんどいないでしょうね。
国民のためを称して行った改革が、市民の生活の土台をなし崩しにしていくというのは、霞ヶ関お得意のブラックジョークだろう。
きっと、霞ヶ関の言うところの国民とは、われわれ市民とはかけ離れた、別世界の存在なのだ。
お役人も仕事を離れれば一般市民のはずなんですけどね~。。。
自分が病気で病院にお世話になることが無いんですかね。
結論が出るまでには時間がかかる内容ですが、
今の日本の産婦人科医療への問題提起にはなったのではないでしょうか。
「赤ちゃんは、生まれるとあっと言う間に世界を変えてしまう。生むかどうか迷った、ということは、生んで喜びを感じる準備ができている、ということかもしれませんよ」
結婚以上に出産に夢の無い私は後輩に「十月十日の間に母性本能が育つんですよ。」と言われたのですが、その通りなんでしょうね~。。。