螺鈿迷宮(海堂尊・2006年)
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宝島社から出版されているのを「田口・白鳥シリーズ」とするならば、これはそのスピンオフになるのでしょう。
この作者は「桜宮市」という架空の町を舞台にして、すべての作品を書いているようなので、それぞれがいろんな所で繋がっています。
私は、この作品で4作目なので繋がりがわかりますが、これを単独で読んだ人がどれだけ楽しめるのかを知りたい所。
時間の流れとしては、バチスタ→ナイチンゲール→ジェネラル→螺鈿迷宮になります。
『ナイチンゲールの沈黙』で「でんでん虫」と言われた碧翠院桜宮病院が舞台。
『ジェネラルルージュの凱旋』でとたとたと走り回っていたお騒がせ娘「氷姫」が出てきます。
「見る角度で様変わりする碧翠院は、まるで螺鈿細工のようだ。」とあるように、老人介護センター、ホスピス、寺院が同じ敷地の中にあり、話が進むにつれだんだんと裏の顔が出てきます。
そして、そこに思いもよらない”因縁”が加わる…。
内容が、終末医療ということもあってか、物語が「田口・白鳥シリーズ」に比べると静かに淡々と進み、いつも強気な白鳥さんが、今回はおとなしめ。
「闇に光を当てれば、隣に別の闇ができるだけ。光には闇がよりそう。これは普遍の真実。光が強ければ闇も深い。これまた永遠の真理」とあるように、世の中の根本的な改革ってできないんでしょうかね…。
ただ、裏の顔さえなければ、碧翠院のシステムは画期的でいいのでしょう。
「医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた。クソッタレの学問だ。」という院長が、
それを言えるだけのことをやっていたのも、今の医療現場ではなかなかできないことでしょう。
世の中というのはなかなかうまくいかないものです。
最後の一文に今後に繋がる可能性を残したのは正直どうかと思う。
この内容で続編を読むのは辛いなぁ…
そうそう、単行本の装丁が「螺鈿」のようできれいでした。
これは文庫では出せないだろな。
こういう辺りは単行本の醍醐味ですね。
「相手の言葉を百パーセント信じるということは、その人に関心がないのと同じことよ。」とある。
相手の言葉を端から信じない私は相手に関心があるんですかね~…。
言いえて妙だと思ったけど、逆はありえないって感じですね(笑)
