魔術はささやく(宮部みゆき・1989年)
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日本推理サスペンス大賞受賞作だそうですが、この本が出版された頃の作者は無名だったようですね。
何人かの目線でいろいろなことが語られるので、最初は誰かを把握するのに戸惑いました。
(単に私の脳みそが足りないだけですけど…。)
それも読み進めるうちに気にならないほど引き込まれる程面白かった。
釈然としないと思っていた設定も物語を追うごとにつながる部分があり、全てが伏線だったのか。と納得。
ただ、題名どおり「魔術」が絡むので、それが受け入れられない人には不向きかもしれない。
出版当時まだ一般的に認知されていなかったはずの「サブリミナル効果」が出てきて作者の知識の幅に驚かされる。
ちなみにラストはその後の作品「火車」を思わせる。
読んだ後も考えさせられ余韻を楽しめる作品である。
以下、本文より引用
「人間の心というのは、両手の指を組み合わせたような形をしているのではないかと思うことがあった。
右手と左手の同じ指が、互い違いに組み合わされる。
それと同じで、相反する二つの感情が背中合わせに向き合って、でも両方とも自分の指なのだ。」
「表裏一体」と一言で言ってしまえばそれまでだけど、こういう具体的な例が出せるのは羨ましいな。
思わず「ほぉ~」とうなってしまった(笑)
「鍵というものはな、ほかでもない、人の心を守るものなんだよ」
昔はいろんなことがあけっぴろげだった。
母の実家は玄関の鍵をかけずに出かけるのが当たり前。
そして近所の人が「今、買い物行ってるから、もうすぐ戻るよ。」なんて知っていたり。
今は、鍵をかけ、セキュリティーも強化し。。。
だんだんとあけっぴろげじゃなくなってきた。
鍵をかけて人の心を守らないといけない時代になったんだな。って。
私の中で、宮部みゆきは「読もう!」を気合を入れないと読めないのだけど、読んで後悔することが少ないのでついつい手にとってしまう。
そろそろ模倣犯に手を出してみようかな。。。
