天使の梯子 Angel's Ladder(村山由佳・2004年)
修子
普段は質素に、たまには豪華に。
登場人物が結構多くて、その上、5人の視点から描かれているから、最初は相関図を理解するのに苦労した。。。
でも、読み進めるうちに、5人の違いが浮き彫りになってきて苦も無く読める作品。
相変わらず、女の深層心理を書いてくれる唯川恵。
5人ともに、どこか自分の重なる部分がある気がする。
それも「嫌~な」部分がね(笑)
「こういうこと思うの私だけじゃ無いんだ。」的、変な安心感が得られる、いいんだか悪いんだか謎な作家。
登場人物の心に住み続ける「高瀬秋生」の言葉に
「余計なものはみんな捨てる、捨てて、捨てて、全部捨てて、そうしたら最後にどうしても捨てられないものが残る。
それが本当のプライドだろ。あとは所詮、ゴミみたいな虚栄心だ。」とある。
意外と人のプライドなんて小さなものなのかもしれない。
死んでしまってなお、多く人の心に残り続ける人っているのだろうけど、「高瀬秋生」みたいに破天荒で現実離れした、プライドが無いようで、一番プライドが高い人なんだろうな。
回想シーンでしか出てこない人物を多方面から一人の人物として、リアルに描けるあたりが唯川恵の強みなのかな?
立ち止まり、振り返り、そして現実に戻っていく、それが人生なのかもしれない。
そう思った本でした。