夜のピクニック(恩田陸・2004年)
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夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。
生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。
そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。
三年間わだかまった想いを清算するために―。
今まで誰にも話したことのない、とある秘密。
折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。
去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。
気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。
内容(「BOOK」データベースより)
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高校の行事で80km歩くという「歩行祭」の間に起きた出来事を綴ったお話。
読みながら、100km歩いたことがある私は、途中の描写に「そうそう!!」と共感することがたくさんあった。
途中そこのキャベツ畑の上に布団敷いてあったら、迷わず倒れこむよ。
頭が空っぽになって、いろいろな記憶や感情がうかんでくるのを繋ぎとめずほったらかしにしていると、心が開放されてどこまでも拡散していくような気がする。
夜であることに気付くのは、いつも一瞬のことだ。
歩きやすい道と、歩いて心地よい道は必ずしも一致しない。国道の立派な歩道は歩きやすいけれども、車が増えてくると、無防備な気がして不安になる。
絶対、この作者も長距離を歩いたことがあるはず!と思ったら、やっぱい母校の高校にこういう行事があったそうだ。
百聞は一見にしかずってこういうことだよなぁ。。。と妙に納得したのでした。
80km歩く。
たかが1日弱のお話だ。
でも、これだけ思い出す1日って言うのは長い人生のうちでもまず無いだろう。
ところが、主人公の甲田貴子はある問題を抱えている。
一歩間違えれば、どろどろの昼メロになりそうな題材をすっきりさわやかに描かれているのがよかった。
「お前には雑音にしか聞こえないかもしれないけど、この雑音の一つ一つが今のお前を作っていくんだぜ」
という言葉通り、人生に不必要な経験は無いのでしょう。
この作品は第2回本屋大賞の大賞受賞作だそうですね。
本屋大賞にはいろいろ思うところがあるのですが、この本はお勧めです。