風花病棟(帚木蓬生・2009年)
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乳ガンにかかり“病と生きる不安”を知った、泣き虫女医の覚悟―
顔を失った妻を愛する男の、限りない献身―
三十年間守り続けた診療所を引退せんとする、町医者の寂寞―
現役医師にしか書き得ない悩める人間を照らす、たおやかな希望の光。
あなたの魂を揺さぶる、人生の物語。
帚木蓬生、十年間の集大成。
感動と衝撃の傑作小説集。
(「BOOK」データベースより)
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10作品の短編集。
奥付を見て驚いたのが、小説新潮で1999~2008年まで、毎年1作品ずつ掲載されたものなのだ。
10年の集大成と言った感じですね。
この作者の本を読むのは初めてですが、異色の経歴に驚きました。
大学を卒業後、TBSに入社、退社後に医学部に入学。
現役の開業医でありつつ、執筆をしているそうだ。
そんな作者だから書けるのでしょう、どれも医者ならではの目線の物語。
出てくる専門は内科、整形外科、眼科、泌尿器科、産婦人科、精神科とさまざまだし、
舞台も、大学病院や公立の総合病院、町の診療所とこれまたさまざま。
派手な展開もない、淡々とした物語だけど、ほんのり暖かい読了感を得ることができる。
我が家のかかりつけ医になって欲しい。と思う人たちばかりでした。
定年直前の恩師が繰り返し教えてくれた言葉が思い出された。
「きみたち、何が効くったって、処方薬の中で一番効くのは『希望』だよ」と言ったのだ。
病は気からとはよく言ったものです。
「気力」には医学では解明できない力があると私は思っています。
特に私の晴れ女伝説なんて「気」でしかないと思うし(笑)
逃げんで、踏みとどまり、見届ける。
研修医が主任看護士に言われた言葉。
医師に限らず、この言葉って通用するでしょう。
そして、こういう基本を守るのが一番大変。。。