名探偵の掟(東野圭吾・1996年)
修子
普段は質素に、たまには豪華に。
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これがね、大統領のクリスマス・ツリー。
治貴の言葉は香子の耳の奥に今でも残っている。
ワシントンで出会い、そこで一緒に暮らし始めた二人。
アメリカ人でも難関の司法試験にパスし弁護士事務所でホープとなった治貴。
二人の夢は次々と現実となっていく。
だが、そんな幸福も束の間…。感涙のラストシーン。
(「BOOK」データベースより)
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一言で言うなれば、ラストにある
「あなたは私のクリスマスツリーだったのよ」という物語。
最初から大方のラストがわかる内容だけれど、読み進めながら、「なんでそのラストになるんだろう?」と不思議に思う。
でも最後の一言で心にズシンと何かが落ちる。
それが納得のラストなのか、後味が悪いのかは読んだ人の性格によりけりかな。
私は読み終わってすぐは「何で?」という気持ちのほうが大きかったけれど、時間が経って自分の中で消化されるとこれが最良かなぁ。。。と。
香子は結婚しても夫婦を「チーム」だと言う。
この「チーム」が読みながら心に引っかかっていた。
「心を強くしなければならない。つよい心とこわい心は違うのだ」と
自分で自分を奮い立たせ、相手の為に働く。
そこまで頑張れる訳は?
でもラストの一言で、「チーム」の意味がわかった気がする。
香子はgive&takeではなくgive&giveの生き方ができる人なんだと思う。
そしてハルと出会い本当に「心が強くなったんだな。」と。
こんなに相手のことがわかっているのに文句のひとつも言わずに別れる。
そんな素敵な女も世の中いるんだなぁと思った。