黒い部屋の夫(市原恵理・2009年)
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ネットで話題の「記憶の記録」待望の書籍化。
うつ病夫との7年間を赤裸々に描く衝撃のノンフィクション。
(「BOOK」データベースより)
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本が好きからの献本でいただきました。
ブログに掲載していたものということで、長編ではないかと思っていましたが、かなりの長編。
読み応えのある本で読了が遅れたのをここにお詫びいたします。。。
私は、なぜか、うつ病の人を引き寄せる何かがあるらしい。
意外と周りにはうつの人が集まってくる。。。
まぁ今の世の中、うつ病の人は数多くあるので、意外と普通のことなのかもしれないけれど。。。
そんな話をしたら、前職の先輩に、
「そういう人(私の場合うつの人)は受け入れることができる人間に寄っていくから、お前に受け入れるだけのキャパがあるんだ。」と言われそんな物かと思ったものだ。
うつ病日記は数多くあれど、うつ病の家族の日記はなかなか無い。
ラストがハッピーエンドではないこともわかっていたけれど、
周りにうつの人がいる状況の人の心境というものに興味があって献本の申請をした次第。
話がそれましたが、本に戻して。。。
文章も構成もしっかりと段取りがとられており、素人が書いたとは思えないほどの文章。
最初のうちは、淡々とした文章に読むペースも上がらなかったけれど、上巻の終わりあたりからは、引き込まれ一気に読んだ。
確かに重い本。
気分が落ち込んだときに読むとダメージが大きいかもしれない。
でも、今の時代、読んでおいて損は無い本だと思う。
作中の夫はうつ病だけが原因では無いと思うが、今の世の中、うつ病だからと優遇されていることも多いと思う。
最後の精神科医の香山リカさんの総評に、「新型うつ病」についての記述がある。
一言で言うなら、「仕事以外では元気なうつ病」のこと。
現在、精神科の臨床現場では、医者は患者の味方でいいのか?大切なのは抗うつ薬の投与や休養ではなくて、現実に立ち向かう力を鍛えるリハビリではないのか。という議論もあるそうだ。
この本の中にも、夫が診断書と薬を持って帰ってきた時に「これで夫の免疫力はまた低下する」というくだりがある。
私は薬というのは対処療法でしかないと思っている。
もちろん、薬なくしては治らない病気もあるし、薬のおかげで今の医療の発展があるのも事実だ。
でも、それ以前に人間には自然治癒力というのが備わっているのではないか。
それを使わずして、薬で紛らすのであれば、治るものも治らないのではないか。
今まで、なかなかこんなことを声高々に言うことは無かったけれど、
同じことを思う人はいるものですね。
個人的にすっきりしました。
書きたくても書けないこういう内容を書くという姿勢。
ブログに連載中は批判・非難等、辛い思いもしたことでしょう。
それでも、書き続け、書き終えたという姿勢。
この作者の強さに感服です。
無理だと思うけれどうつ病の人にも読んで欲しい本。
あと世の夫という職業の人にも。。。
今の自分がどれだけ悪いのかもわからない。
どういう状態が快復の兆しなのかもわからない。
最悪の場合、本当にその病名が合って」いるかどうかもわからない。
非難を覚悟して書けば、経度のうつは、もしかすると助けの手が無い環境であれば、なし崩し的にいつの間にか治ってしまうものなのかなと思っていた。(今も半分思っている)
一般論しか吐けないのは、そんなマイナーな道から遠い証拠。
「周りと同じ」が常に最良かと言えばそうではないだろうが、共感を得られやすいというわかりやすい幸せがあるのだから、わざわざ道を外れる必要は無い。
○○にしては安い、という相対的なお得感には非常に敏感だが、安かろうがン万円はン万円という絶対的な価値には甘い甘い人間だったのだ。