日経ビジネスを読んで思うこと。ダイヤモンドの価値とは、、、
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日経ビジネス5月20日号の「世界鳥瞰」というコーナー(?)に興味深いタイトルの記事が。
「ダイヤモンドの輝きは永遠か」
※ちなみに電子版のタイトルは「天然ダイヤモンドの価格が低下 その輝きは永遠か」
ダイヤモンドの輝きは永遠か
内容としては、、、
合成ダイヤモンドの台頭により、ダイヤモンドの価値が下がっていることに対し、ブルガリやティファニーを傘下に抱えるLVMH社が「ジュエリーでは、我々は天然ダイヤモンドを使う。最も美しい宝石は天然ダイヤだと我々は考えている」と天然ダイヤモンドの価値を名言。
合成ダイヤが出始めの頃は、天然ダイヤの2割安ぐらいだったのが、現在では7割安まで価格が下落しているとのことで危機感を抱いての声明とのこと。
とは言え、合成ダイヤと天然ダイヤは「光学的、物理的、化学的に同一」。
さて、天然にどう価値を付けられるのか、、、今後のダイヤモンドの価値ははたして。。。!?
ダイヤモンドと言えばデビアスという世代
ダイヤモンドと言うと、子供の頃から「ダイヤモンドは永遠の輝き デビアス」と言うCMが流れていた世代で、完全に刷り込まれています。。。(笑)
子供の頃は、当たり前のように婚約指輪はダイヤモンドだと思っていたし、ダイヤモンドより高い宝石は無いと思っていました。
他にもダイヤモンドにまつわるものと言うと、「婚約指輪は給料の3ヵ月分」や「スイートテン・ダイヤモンド」など、これも私の世代は誰もが知っているものですね。
これらすべてはデビヤス社が仕掛けたキャンペーン。
※ちなみに「スイートテン・ダイヤモンド」は2007年に宝飾品の製造・加工・販売会社である「株式会社ナガホリ」が商標権を取得しているそうです。
以前、ダイヤモンドはデビアス社が独占販売状態だったようですね。
ある時から、パタっとCMも流れなくなって、変わりにジェムケリーのアレクサンドライト(米倉涼子さん起用)のCMが流れるようになったのを覚えています。
・・・この辺りの話を書き始めるととーっても長くなりそうなので、今回は割愛。。。☆
ダイヤモンドの代りはあるのか!?
さて、そんなダイヤモンド、高価なことからダイヤモンドの代りになる品も重宝されてきましたよね。
有名どころではキュービックジルコニアなどの人工ダイヤや、スワロフスキーなど。
さらに、去年ぐらいからよく聞くようになった「モアサナイト」もありますね。
ちなみに今回のキャッチや↑の画像はモアサナイトです。
「ダイヤモンド の2.5倍の輝き」とも紹介されることのあるモアサナイト。
モアサナイトはS炭化ケイ素で構成されていて、炭素を含むことからダイヤモンドに近いとされています。
ちなみにダイヤモンドは鉱物で唯一の10という硬度を持っていますが、モアサナイトは9.5とダイヤには劣りつつ、非常に硬い鉱物です。
合成ダイヤ「ラボグロウンダイヤモンド」とは
さらに数年前からは、所謂「偽物」とは一線を画す「ラボグロウンダイヤモンド」なるものが登場してダイヤモンド界隈は群雄割拠の勢いに。
ラボで人工的に生成されているダイヤモンドのこと。
天然ダイヤモンドと同じ成分(炭素)。
鉱山で採掘する必要がないので、環境へ与える負荷が少なく世界平和にもつながると話題に。
2019年にGACKTさんが日本グロウンダイヤモンド協会のエグゼクティブオーガナイザーに就任したのも話題になりました。
私はこの時にラボグロウンダイヤモンドと言う言葉を知りました。
そして、「血塗られたダイヤモンド」や「戦争ダイヤモンド」などという言葉を知ったのもこの時。
ダイヤモンドの産出国にとっては貴重な外貨獲得資源となり、でも輸出したダイヤモンドなど宝石類で得た外貨を武器の購入に充てられているというもの。
一般市民を採掘に苦役させられることから人道上も大きな問題が、、、
2006年のレオナルド・ディカプリオ主演映画『ブラッド・ダイヤモンド』の題材でもあるそうです。
ビールからダイヤモンドが作れる!?
話は変わって、、、
実は私の以前の職場の同僚に、大学院でダイヤモンドの合成の研究をしていた人がいるのです。
卒論のテーマでビールからダイヤモンドを作っていたなんて話を聞いて、「え?ビールからダイヤモンドが作れるの??」と聞いたら、「だってダイヤは所詮炭素ですから。」と一言。
その言葉がとっても印象的で、今でも私はダイヤモンドを見ると「所詮炭素」と言う彼女の言葉を思い出します。。。
確かにダイヤモンドは炭素オンリーでできているんですよね。
それは知識として知っていたけれど、ビールと言う身近な物からでもダイヤモンドを作ることができるのか!と驚いたのを今でも覚えています。
当時(もう20年以上前。。。)は「合成ダイヤモンド」や「ラボグロウンダイヤモンド」という言葉もなかったので、「人工ダイヤ」と言っていましたが、今で言う所の合成ダイヤモンドの事だったのでしょうね。
ちなみに、当時の技術でビールからダイヤモンドを合成しようとするとどうしても茶色っぽくなってしまって、それを透明に近づけるのが難しい。との事でした。
その後、イエローダイヤモンドやブラウンダイヤモンドなど、カラーダイヤモンドがもてはやされる時代が来るから、世の中、何が流行るかは想像もできない楽しいものですね☆
この人工ダイヤ(当時)の研究が着々と進み、商業的に成り立つまでになったとは、、、と個人的には感慨深い。
研究の成果ってすごいですねー!
生成AIがもてはやされる昨今ですが、こういう研究や0→1にする想像力はまだまだ人間にしかできないのではないかと、人間の能力に期待したくなる今日この頃です。
これからのダイヤモンドはどうなるのか
さて、天然ダイヤモンド、合成ダイヤモンド、ダイヤモンド類似の宝石、、、いろんな鉱物がいろんな価格で出回るようになって、確かにダイヤモンドの価値は以前とは別物になりつつありますね。
でも今の所、「ダイヤモンド至上主義」なのは変わらない印象です。
今までは「ダイヤモンドとそれ以外」と言うある種、二者択一だったものが、天然・合成・人工系とそれぞれが、その石の良さをアピールします。
その中で興味深いのが、モアサナイトの紹介で「ダイヤモンド の2.5倍の輝き」のようなダイヤモンドと比較するところ。
例えば↓はモアサナイト 一粒 0.3ct プラチナネックレスの案内バナー。
ダイヤモンドの価値にあやかって販促していこうという思惑なのでしょうが、ダイヤモンドより優れているところにフォーカスしておいてダイヤモンドより価格が安いというロジックは回りまわって、モアサナイトはダイヤモンドより価値が低いという証明になってしまっていると思うのは私だけでしょうか、、、?
となると、ダイヤモンドに軍配?
と、そうはいかないのが、この問題の難しいところ。
今回の日経ビジネスの記事にあるように、天然であることに価値を見いだそうとする高級ブランド勢と、値段で勝負する合成ダイヤモンド勢の牽制しあっているという構図。
そもそもダイヤモンド自体に値段は無いものですからね。
それを高価に買い取る人達がいるから価値が出来上がり、値段が上がるわけで、、、
高級ブランドの経営者たちは自分たちのブランド価値を上げるためにも、使用するダイヤモンドの価値は高くないといけない。
となると、天然のダイヤモンドが高価であるとしたい。
でなければ、「安価な合成ダイヤモンドでぼったぐっている。」と炎上しかねない世の中ですから。
しかし、合成ダイヤモンド勢が「天然ダイヤモンドと同じ組成(炭素)で、争いなくラボで作られる。」という所に価値を見いだし対抗。
これまでは合成ダイヤモンドもそこまで生産量が無かったので、多少の価格差で天然に追いつけ追い越せムードだったと思うのですが、二匹目のどじょうを狙った会社が続々と参入し価格が崩れて来ている模様。
同じダイヤモンドであれば、天然でも合成でも構わないという人達がこぞって合成ダイヤモンドを購入して、相対的にダイヤモンドの価値までも落とす結果になりつつあるというのが、現状のようです。
話は変わりますが、ここ数年、セレブの間でエメラルドの需要が高くなっているというのをニュースで見かけましたが、これもダイヤモンドの価値の低下によるものだったのかも!?と思って見たり、、、
それにしても、希少性と輝きからダイヤモンドの価値がもてはやされ、合成ダイヤモンドの技術で世の中にたくさん出回るようになったら、価値が暴落して誰もが見向きもしなくなるかもしれない。。。
ビジネスって難しいものですね。
デビアス社が独自キャンペーンでダイヤモンドの価値を上げてきたように、今後、どの会社がどのような広告でこの宝石業界に台頭していくのかを楽しみつつ見守りたいと思います。
私と宝石
さて、そんな私ですが、もちろん宝石に興味がないわけではありません。
鉱物としても宝石としても興味津々!(笑)
名古屋市科学館で開催された宝石展には2回行きました!
近所に個人の宝石店があり、店主の奥様が母とPTAが同じだったことで、我が家の宝石類はそちらのお店で購入したものがほとんど。
(母はどちらかと言うと、買い物でストレスを発散するタイプだったようで、何かと揃っている(笑))
おかげ様で私は自分で購入したことがありませんが、、、
個人的には自分が気に入っていれば、どんなジュエリーでもいいと思っています。
そこまでブランドに興味がないのと、宝石であればブランドよりも石そのものに価値があると思うのですよねー。。。
あ、でもブランドはデザインに価値があるのかもしれませんね。
でも最近思うのが、モアサナイトやスワロフスキーをダイヤモンドに見せようと思って持っているのであれば、ダイヤモンドの方がランクが上と決めているという事だと思うのです。
例えば、全然違うルビーやサファイヤなどをダイヤモンドに見せようとは思わないはずですものね。
そういう宝石の持ち方はしたくないなぁ。。。と個人的には思っています。
モアサナイトにはモアサナイトの良さがあると思うのでで、それを「ダイヤより安いから」と購入することは今後も私としては無いでしょう。
それよりもデザインや石の形が気に入ったら購入を検討したい☆
着物と一緒で宝石も定価があるものでもないですからね。
(あ、ブランド品はブランドとしてのデザイン込みの定価がありますね。)
世の中に2つとない石との出会いを楽しむぐらいの余裕を持ちたいものです。